採用活動の難易度が高くなってくると、会社として求人広告費を支払い続けて、何かのメディアに頼り続けることがバカバカしく思えてくることも多いのではないだろうか。
そんなときに、新たな活路として選択肢の1つに挙がるのがオウンドメディアではないだろうか。数年前から名前を聞くことのあるオウンドメディア、一体どういったものなのだろうか。もう一度見直してみたい。
オウンドメディアってなんだろう
オウンドメディアというものを直訳すれば、”owned media”=自分自身のメディア媒体ということになる。幅広い視点で言えば、個人のブログやホームページも含まれるだろう、会社であればオフィシャルサイト、自社の案件だけを掲載する自社求人サイトがオウンドメディアという位置付けになる。
最近、いろいろな場面でオウンドメディア(以下、オウンドと表記)の重要性を説く人が増えてきたように思う。有名媒体を運営する広告会社から見ても、近い将来、求人業界の勢力を大きく変える脅威的な存在なのではないかといった懸念を持っている営業担当者すらいる。
決して、こういったことを予測していたわけではないが、筆者は縁あって数年前からオウンドも使って母集団形成を行うようにしている。その結果、上手いこと流れに乗れている部分もあるので是非紹介したい。
筆者が使うのは「リクオプ」というオウンドメディア
ATSシステムってなにか?
リクオプとはHRソリューションズ株式会社が運営する採用ホームページと応募者の一括管理、分析、登録者に対するメール送信などができる1つのパッケージである。最近では、ATSシステムなどと呼ばれる。Applicant Tracking Systemを略してATS、ちなみにApplicantは応募者、Trackingは追跡という意味である。

導入企業事例を見ても分かると思うが、多店舗やFC店を運営するような法人、アルバイト・パートをメインに採用する会社、勤務先がたくさんある派遣会社などが活用している。
最近は、こういったパッケージがいろいろな会社から販売されているが、数年前はあまりなく、将来的な活用方法を考えた上で導入した経緯がある。たくさんのメリットがあるからだが、それを具体的に書いておく。
リクオプで出来ることは実は山ほどある
そもそもリクオプの趣旨としては応募の母集団形成と、採用管理を行うことで採用率を高めていくことにある。ここに関しては他社のATSシステムでも変わらないだろう。
- オリジナル採用サイト作成
- デバイス対応(求職者側)
- 独自ドメイン
- SEO(検索エンジン最適化)
- 検索方法のカスタマイズ
- 求人案件管理
- 応募情報インポート
- 応募フォームカスタマイズ
- 応募者対応・応募情報管理
- デバイス対応(管理者側)
- 面接日程管理
- メールテンプレート
- 応募者情報ダウンロード
- 求人案件情報ダウンロード
- 初期設定サポート
- セキュリティ
月額の固定費はかかるものの、リクオプではたくさんのことができる。項目は16個挙げられているが、使い方次第では十分すぎるほどだと思っている。特に今まで、導入したことのない企業にとっては夢のような存在だ。
基本的な使用だけでも得られる効果が大きい
扱う人がどこの部署に所属しているかによって若干異なるものの、日常ルーティン的に使う機能としては、応募者管理と求人案件管理の2つがメインとなるだろう。

応募者管理を開けば、過去に受けた応募もすべて出てくる。

個人情報を消した後の表記だが、本来は氏名や電話番号などが表記されている。左側にアクセントを付けたが、「NEW」のアイコンが付いている人はまだ対応していない応募者なので、離脱することのないように素早い対応が求められる。
逆に、過去に登録したことのある電話番号を再度入力すると、”過去応募あり”というフラグが付いて素早く認識ができるシステムになっている。
選考状況がプルダウンメニューで変更できたり、備考欄にこちら側のコメントを書くことができることも付け加えておく。
求人案件管理では案件の公開・非公開がボタン1つクリックするだけで容易にできるようになっている。原稿内容を修正したり、公開区分を変えたりすれば管理画面上では最上位に表示され、それがそのまま実際にホームページ上でも(公開案件は)最上位に表示される。

サイト閲覧者は基本上位表示から見ていくだろうから、定期的に上位表示させるようにするのも1つの裏技になる。
リクオプ内の簡単な解析でも十分活用できる
どこまでのレベルの分析や解析を行うかという問題もあるが、簡単な応募解析であれば管理画面からでも行える。

応募者の抽出だけに限らず、違う経路で保存された応募者の一括取り込みも容易にできるが、エクセル形式にしておく必要がある。
応募者の分析としてできる内容としては、居住エリアや応募の集まりやすい経路はもちろんのこと、かけた経費とデータを掛け合わせすることで、メディアごとの費用対効果まで算出できる。
とはいってもメディアをいくつも併用している会社はそんなに多くないだろうし、時期や職種・仕事内容によって採用難易度は変わるので、最低でも半年くらいのスパンで分析を行っていく必要があるだろう。
今まで採用結果に関する分析をまともにしたことのない企業なら、得られる効果は尚更大きいと言える。ちなみにリクオプの月額運用費は88,000円(税込:2019.12.24現在)である。
各社のATSシステムのラインナップ
筆者の知識には大きな偏りはあると思うが、いくつかを紹介しておきたい。あくまでも採用ページと応募管理が両輪で出来るものに限定する。
まずはジョブオプ。リクルートの提供するシステムだ。

次はハーモス。ビズリーチの提供するシステムだ。

他にもいろいろあるのだろうが、あとは運用費用やindeed対策、SEO対策などを基準に選定すればいいと思う。
ただ、1度そのシステムで始めてしまうと、容易に違うものに変更できないので注意が必要だ。
どれのメディアを選ぶかではなく採用の見える化に主眼を
募集内容が変わるわけではないので、サイトを変えたところで大幅に効果が変わることはないだろうと思う。もちろんindeedへの対策やSEO対策が別途必要になる。
一番大事なのは、採用の見える化を図り、定期的な結果レビューや改善を行うことだろう。そちらの方が案外、採用成功への第一歩かもしれない。求人が上手く行かないからと言って、違う求人メディアを選んだりする前に徹底的なレビューの方が大切である。
